第5回健康セミナー「すこやかな肌を保つために」
場所: 在デンマーク日本大使館インフォメーションセンター
日時: 2004年5月27日(木曜日)
講師: 大越賢一郎先生 (大越先生の御経歴は
こちら)
当日は、女性を中心とした約40名の参加者が、熱心に先生の講演に聞き入っていました。講演後の質問の時間では、会場となった日本大使館の閉館時間近くまで参加者の方々の質問が矢継ぎ早に絶えず、「健やかな肌を保つために」という題目が、すべての女性にとって永遠のテーマであり、感心の高さを伺わせる講演会でした。当日行われたスキンケアに関するアンケート結果をまとめていただきましたので、ワンポイントアドバイス(OPA)とともに参考になさってください。
1.皮膚の構造と果たす役割
皮膚とは皮下脂肪の上の層までのことを言い、大まかに4層構造になっています。人間にとって必要不可欠な痛み、かゆみ、厚さ、寒さを感じ取る神経や血管がたくさん網の目状に広がっています。
一番外側の層のことを角層といい、皮膚の最も重要な働きであるバリア機能を担っています。角層は死んだ細胞の層であることから、普通「アカ」として扱われます。その一方、角層は皮膚の表面なので、「素肌」として皮膚・肌ととらえられています。
2.皮膚の大切な角層機能
角層のバリア機能は、わずかな厚さで体の自由な動きをなんにも邪魔をしない柔軟な膜でありながら、外からのばい菌や毒物が入るのを防ぎ、そして人間の体に必要な水分が広い皮膚の表面から失われるのを最小限に抑えています。
3.外来受診の重要性
人体は皮膚によって、さまざまな刺激から守られていますが、そのバリア機能が破壊されたり、本来持っている病気が発症してしまったら、早めに病院に行く事をお勧めします。いつから、どんな症状が出て、治す目的で自分で何か塗ったり、薬や健康食品などをのんだりしたかなど、診断の助けになるような情報を医師に具体的に伝えることが必要です。
4.皮膚科で扱う疾患
頻度の高い疾患としては、皮脂欠乏性皮膚炎(冬になるとカサカサして痒くなる)、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)、蕁麻疹、「水虫・たむし」と言われる足・爪白癬、このほか中毒疹、皮膚潰瘍、帯状疱疹(いわゆる「つづらご」)、皮膚掻痒症、熱傷、水疱症(身体のいたるところに水ぶくれができる)、いわゆる「でもの・はれもの」の腫瘍(良性~悪性)、細菌、ウィルスなどによる感染症など、様々です。
5.外用剤:軟膏・クリーム・ローション・スプレー
用途や塗る場所に適したものを選ぶ事が大切です。
例えば、軟膏は皮膚にとどまる時間が長く、かさかさしている状態には最適です。クリームは、汗をかきやすいところに塗るのに適しています。ローションは液体なので、髪の毛の生えている頭などに使いますが、アルコールで溶いてあるものが多いので、多少ぴりぴりすることがあります。スプレーは手を使って塗るとかえって痛い場合や、手早く広い範囲に薬をつけたいときに使うのに適しています。
6.なるべく皮膚科にかからないようにするために
日頃のスキンケアが大切です。具体的には、身体を洗うときには、肌の皮脂を必要以上に取り去ってしまう液状のボディソープや身体には強すぎる成分が入った薬用石鹸(ある商品では安息香酸ベンジルと記載されている)などを使うよりも香料や着色料のなるべく含まれない刺激の少ない固形石鹸をよく泡立てて使うことをお勧めします。
身体を洗う際に使う物では、ボディブラシ、ナイロンタオルは肌への刺激が強すぎるので手で撫でるように洗うのが良いでしょう。洗髪については、季節や個人差もありますが、肌を守るという観点からは週に2~3回程度でよいと思われます。頭皮の脂漏性皮膚炎予防から考えると、洗髪後にドライヤーで乾かすことをお勧めします。
健康サンダル、軽石、健康踏み竹なども皮膚が硬くなり、割れやすくなるので使わないほうがよいでしょう。また、食器を洗う時には、ゴム手袋を使ったり、ハンドクリームなどを使うことで、肌をいたわり、守って頂きたいものです。
7.香粧品(俗に言う化粧品)の効用
手術や事故でできた傷や、疾患によっては肌の色が抜ける病気(白斑)もあり、その不自然さをうまく隠すことによって患者本人の精神的苦痛を和らげるという働きもあります。また、身近な問題として、紫外線から肌を守る為に、男女ともに日焼け止めなどを使用したほうが良いでしょう。こうした普段のちょっとした心構えが皮膚の疾患の予防につながります。
先生の講演を今回聞かせて頂き、肌のためによいと思って普段しているケアがかえって肌を傷つけている事が多い事に改めて気がつきました。また、美肌を保つため、皮膚科にかからないためには、肌に負担のかからない程度の日々のスキンケアをすることが大切だと言う事も知ることが出来ました。
しかし、もし、皮膚科にかかる必要が出た場合は、なるべく専門医にかかり具体的な症状を伝えることが大切だと思いました。
(文 S.N)